【アオイエ卒業生がつくる、新たな居場所】 | メンバーブログ | アオイエ

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アオくんの家

【アオイエ卒業生がつくる、新たな居場所】 2019.05.23(Thu)

アオイエOBOGは今?!vol4として、アオイエを卒業したあと、新たに出会った仲間とともに、クラウドファンディングを利用してF/AHouseというシェアハウスを立ち上げた今野誠二郎さん。アオイエでの出会いや思い出から、仕事に対する考え方まで、誠二郎さんがこれまで育んできた価値観に焦点をあてました。好きなことを仕事にしたいけど、その好きなことがなかなか見つからない、、という人に、ぜひ読んでほしい記事です。



【プロフィール】

今野誠二郎(こんのせいじろう)

1997年1月25日生まれ。F/AHouse
代表・俳優。

幼少期から日本舞踊を学び、2017年より和歌山県熊野本宮大社にて神楽「熊野」を奉納する役割を担う。演劇のバックグラウンドを持ち、現在は社会に変革をもたらすアートプロジェクトが量産される工場「F/A
House」を立ち上げ、実験的なコミュニティ運営を行う。人間の想像力の可能性を信じ、”劇場で上演する”という形を脱した、新たな演劇表現を模索している。

2019年8月から1年半の歳月をかけ、オーストリア、英国、米国、インド、中国の5か国を周る。



「好き」から始めたわけじゃなかった。


最近はワンメディアという会社でインターンをしているけど、まだ学生だから、学校にもたまに行ってる。(取材当時)

そして、俳優の仕事もしているんだけど、それに関しては、ちょうど今が転機かも。


というのも、そもそも僕が演技を始めたきっかけは、映画や演劇を観て感銘を受けた!というよりは、新しいことにチャレンジしたいというのが大きかった。

けど、生きてきた18年間で出会ってきた人々、特に僕は一貫校だったから、彼らや彼らの親御さんたちの目を気にしている自分は少なからずいた。


声をかけられて演技を始めるとき、「やっぱ”売れない役者”と認識され続けるのは自分的に難しいだろうなぁ」という思いがあって。

だから、バイトしながらでも続けてやろう、とは思ってなくて、大学3年までやってだめだったら普通に就職すればいいや、と思って始めた。

要するに演技を始めた当時は、演劇や映画に対する「好き」の度合いが、そんなに大きくなかった。

今でこそどちらも好きでよく観に行くし、演技も面白いなと思うんだけど、ちょっと前に演技レッスンをやめたときも、他の生徒たちが寝る間を惜しんで映画を観たり練習したり、人生全てを演技にかけている姿を見て、自分はその人たちとは違うなと思った。

俺は、その人たちに比べて、他にもこうやって居場所づくりをしたり、まだ学生だったり、演技以外のいろんな選択肢があったから、当時はまだ、演技一本に集中するっていう踏ん切りがついてなかったんだよね。

そのときに、「ああ俺みたいなやつがここにいても、聖域を汚すだけだな」と感じて、演技レッスンも事務所もやめた。

だから、そのあともまだ若干、演技を引きずってた部分があったな。



演技に対する気持ちの変化。


でもここ最近は、またその気持ちも変わってきて。

最近受けた演技のワークショップ、俺が本当に好きな劇団のワークショップだったんだけど、その劇団の主宰にすごく褒められた。

心から友達を誘いたいと思える、実力のある劇団に評価されたし、来年の2月と4月にも舞台に出るんだけど、片方は俺が演劇を見始めるきっかけになったところだし、もう一つの方も、最近すごく人気でずっとファンだった劇団。

そうやって劇団の知名度を気にしてることを思うと、さっきも言ったけど、俺はやっぱり、どこかで世間体を気にしちゃってると思うんだよね。(笑)


でも、そこはずっと出たいなと思っていた劇団だったし、最近は、実際に評価されていて嬉しい。

さらに、演技そのものというより、人への想像力を養ったり、メタ的に自分を見たり、他者を演じることで自分を相対化していったり...といった、演技をすることで身につく能力というのが言語化できて、それらを養うこと、その上で他の人とものを作るのが好きなのかもなと思い始めてきた。

持論だけど、シェアハウスのオーナーと役者は親和性が高いと思う。どちらも、コミュニケーションを強制される環境に身を置く仕事だからね。



アオイエとの出会い。


アオイエには、2018年4月から10月の間住んでいた。

実家も東京だけど、当時アオイエに住む以外の選択肢はなかったな。

アオイエに住む前から、大学に入学した当初は役者をやってたけど、それがほんとに好きなことかはわからなかった。

それに、役者という、人とは違うことをやり始めてしまったから、「俺はあいつらとは違う」みたいな変なプライドもあって。

だから、大学1~2年のころは、ほとんど毎日飲み会に行く生活をしてたな。

酔って記憶をなくしたり、終点の駅まで行ってしまったりして、家族に迷惑をかけたこともあった。

でも2年の途中で、なんとなく面白そうだなと思って参加したイベントで、アオイエのことを知った。

そのイベントでは、最後の方に、前に出て1分間自由に喋れる機会が設けられてて。

俺は前に行けなかったんだけど、アオイエの数人が前に出て喋ってるのを見て、すげーなと思ってた。

そのあと、住人に連絡して、アオイエで行われてたイベントに毎週のように通って、空きが出たタイミングで誘われて入居した。

あ、始めて裕太くんと連絡とったときのメッセージ残ってるかも。ほら。

「アオイエの住人が一人退去することになった関係で、新住人を募集してるんだけど、興味ある?」だって!





(誠二郎が、アオイエ住人に初めてコンタクトを取った際のメッセージ。)




アオイエとの出会いは、自分の人生にとってでかかったな。

その一方で、自分は恵まれてるなって思う。面白い人たちとの繋がりはもともとたくさんあったから。

それも才能だ、って言うのも分かるけど、そこにはどうしようもない不平等があるよね。俺って運がいいだけだなって。

住む前からずっと、「お前は世界を知らなすぎる」と言われ続けてたんだよね。

自分でも思っていたから、いろんな人に会いに行かなきゃと思っていた。それで会いに行ける環境にあった。

哲学を持った人に対する憧れもあって、アオイエにそういう人が多かったから、そういう人に会いに行ったっていうのがアオイエに行った一番大きな理由かな。

あと、彼らがヒッピーみたいな感じだったら寄り付いてなかったと思うんだけど、みんな頭いいから、好きなことやりつつ金銭的にも社会的にも割となんとかなってたってのも、僕を引きつけた一つの要素かな。

早くそんな固定観念壊したいんだけどね。



不安が消えていった、アオイエでの生活。


実際の生活は、すごく楽しかったね。

会って喋る時間が、ディズニーランドみたいだった。

家は駅から歩いて3分くらいのところにあったんだけど、走って帰ってた、ほんとに(笑)いま思えばすごいな。

アオイエでは、話してる時間が多かった。

出るころには、入ったときより確実に、自分の世界が広がってたな。

漠然とした将来に対する不安が、一つずつ消せた感じだった。

たとえば、「結局は就活しなきゃいけないんだろうな」っていう漠然とした不安があったけど、就活せずに頑張ってキラキラしてる人たちを見ていたら、僕もできるかもという希望に、だんだん変わっていった。

「好きなことをやればいい」とか、「仲間がいれば、失敗しても大丈夫」とか、よく耳にしてはいたし、頭ではわかっていたけれど、実例を間近で見ることで、腹落ちした感じ。

今までの自分の「当たり前」がこわれて、新しい「当たり前」ができていった。(アオイエでの思い出の一枚。初期の物件で行われたお別れパーティーにて。)




出るときはすごく迷っていて、いろんな人に相談した。

出る直前までは、みんなで一生一緒に暮らしていくんだろうと思っていたんだけど、そのうち出て行く決断をする人が出て来たり、仲違いが起きたり。

他の人は全く別の人生を生きていて、そこは俺の力ではどうしようもできないことなんだと気がついて、その場所に固執することはなくなったかな。

俺は、当時住んでいた人と一緒に住みたい思いがいちばん強かったから、いる理由がなくなったし、一人暮らしもしてみたくて、出ると決めた。

でも、住み続けたらまだいろんな人と会えるんじゃないかと思って迷っていて、いろんな人に相談した。




アオイエに住んでいた頃のフェイスブック投稿



よく、「なんで実家が近くにあるのにアオイエ住むの?」って言われるけど、おれはアオイエの家賃を、自己投資だと思って払ってた。

家賃があがってしまったこともあっていったん実家に戻ったんだけど、実家に住むのはやっぱり少し疲れた。

両親とは仲がよくて、よすぎるからこそお互いに軽く依存し合うような関係性で。

アドバイスを受けると、そこには決定的な生まれ育った時代の隔たりがあることを実感するんだけど、お互いのことを思って言ってるってわかってるからこそ、そのアドバイスを無下にはできなくて。

一緒にいるとだんだん関係性が悪くなっていったから、いまのF/Actoryの物件で一人暮らしを始めた。



好きなことの見かり方。


シェアハウスを「やりたい」から「やる」に変わったのは、やらなきゃいけない時がきたからかな。気づいたらやってた。

それまで、寝る間をおしんで何かに没頭したことがないのがコンプレックスで、アオイエ時代も、夜遅くまで勉強する東大生を見て、自分と比べたりしていた。

なのに、F/AHouseのクラウドファンディングのときは、気づいたら寝ずにやってた。それも、「頑張ってる」っていう感覚もなく、楽しくやってた。俺も条件さえ揃えばやればできるじゃん!と思った。

それと、
F/AHouseを通じていい仲間に出会えたのが大きかったな。彼らとはフィーリングも合うし、喧嘩したい、と思う関係性。

喧嘩してもすれ違わない、という安心感があるから、むしろ徹底的に向き合って、認識のずれに気づいてみたいと思える。

ずっと、自分の「好き」が見つからなかったんだけど、
F/AHouseの運営を通してやっと、「人が好きなことをしているのを見ることも好き」っていうことに気がついた。

好きなことを見つけようとして、原体験にとらわれている人が多いなと思う。「原体験ハラスメント」(笑)

強い原体験がないとできないんじゃないかと思っている人が多いようだけど、そうではないと思う。

ある人に、「そもそも『天職』とかはなくて、仕事は自分の中で決め打ちして、それに後から理由をつけていく作業だ」と言われて納得した。

ドラマみたいに、感銘を受けて最初から熱量を注いでいるものなんてあんまりないと思う。

だから、まずは自分がどんな瞬間に幸せを感じるかを深掘りしてみて、ピンとくるものがあったらひたすら試す。試すっていっても難しいから、やらざるを得ない環境を自ら作る。例えばクラウドファンディングやったり、仲間集めちゃったり、宣言しちゃったりするのがいいのかなぁ。よく言われることだけどね。

それに、仕事ってもともと、誰かが好きだから生まれたわけではなくて、ニーズがあって、そこに「おれがやるよ」って始まったもの。

だから、好きなことと仕事が完全に一致することってほとんどないと思うんだよね。

だから俺は仕事になるような得意なことと、好きなことを分けて考えてて、時に重なりながら、並行してやろうと思っている。

仕事って、その人の全てを表すものではないと思うから。

ただ何ができるか、の一部を表すだけで、その人全てではない。一つの資格みたいなものだから、仕事からもれるスキルや、仕事からもれる「好き」だってたくさんある。

とりあえずやってみる、ができる場所が少ないと思う。

F/AHouseは、就活前の人向けのキッザニアみたいな場所でありたいと思ってる。

たとえば、写真やりたいなと思ったら近くに写真家がいる、という環境。

好きなことが見つからないのは、そういう環境に自ら身を置くだけで少しずつ変わると、俺は思う。

俺自身も、好きなことが見つからなかった状況から、アオイエに入って環境が変わったことで自分も変えてもらった身だから、特にそう思う。

でも、このアオイエや
F/AHouseのよさを一人で享受してても意味がないから、何らかの形で、この、好きなことをやりやすい環境を広めていきたい。それが結局自分の身も助けると思うから。



アオイエとF/AHouseの違い。


今は住んでいないから分からないけど、俺がいたころのアオイエは最高だった。あそこにいたら、だれでもチャレンジ精神をもった人になれる雰囲気があった。

それはまだ
F/AHouseにはないから、どうやってあの環境がつくれたのか、昔のメンバーと話したいと思っていた。

アオイエも、いいところとわるいところの両方がある。

何もしてなくてもなにかしてると思い込んじゃうことがあったりする。

でも、行動に移せる人にとっては、すごく価値のある場所だと思う。


F/AHouseの良さはね、POPEYEに載りそうなところかな。(笑)

「かっこいいなこいつ」と思うことがよくある。

そうやって、憧れられる存在になれたらいいなと思う。「憧れ」って、人を惹きつける大きな力だから。



いつも大事にしていることと、F/AHouseのこれから。


気をつけているのは、「気をつけない」こと。

もともと悪口を言ったりしないし、みんなにも人当たりがいいといわれるから、俺自身はそのままでいいと思ってる。

でも、一つ直したいのは、noと言えないところ。

自分がコミュニティを守る存在になってみて、やらなきゃいけないことが見えてきた。

noと言わなきゃいけないところは言わなきゃいけないし、ルールを守らせることの大切さも学んだ。叱ることも増えてきたけど、優しくしてるだけじゃだめだなと思ったから。俺自身強くなってる。

住人どうし、感性が似通っていったらしょうがないよね、という話はしてる。

違いこそが価値だと思っているから、似通ったら集まった意味がないよね。

否定し合わないのはもちろん大事だけど、その上で、それぞれの価値観を大事にし続けたい。

それから、アオイエから受け継いだ、「批判より提案を」かな。

安全圏から文句を言うより、自分の欲しいものなら自分で作ろうよって言う。

それで、口を動かすのもいいけどちゃんと手も動かせ、とか、当たり前のことはやれよ、ということはよく言ってる。

言い合える空気はもちろんいいことなんだけど、不満だけ言っていても、前に進まないから。

人間やっぱり、否定されると落ち込むから。相手のテンションを下げるように文句を言うのではなくて、相手を落ち込ませない伝え方をして、さらに提案までするのが理想。


F/AHouseは、まだみんなカスタマーな感じがする。訓練が必要だと思うし、時間がかかると思うけど、アオイエのときの、「みんなで作っていこうぜ」って雰囲気をつくっていきたいな。

アオイエは、これからもコミュニティの先輩として学びたいし、でも、アオイエとF/AHouseそれぞれ得意なことがあると思うから、生かし合っていけたらいいよね。

シェアハウス同士だけど、競合という認識はない。むしろ協力し合っていきたいな。

(インタビュー日:2018年10月25日)



【編集後記】

世間体を気にしていたり、子供のように楽しそうに話したりと、クールな外見から想像していた誠二郎の意外な一面を知ることができました。「仕事は、だれかの『好き』から始まったものではなく、必要とされて始まったもの」という誠二郎の話は、わたし自身の選択にも大きなヒントを与えてくれました。

少しずつしがらみから解かれ、自由に羽ばたいていく誠二郎のこれからが、ますます楽しみです。

(企画/インタビュー/編集/写真 吉本遥)


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